2026.09.04
テレワークでも社食は成り立つ?ハイブリッドワーク時代の食の福利厚生
「週2日は出社してほしい」と伝えたものの、社員の足が思うように向かない。
そんな相談が増えています。
数字を見ると、この状況はどの会社でも起きていることが分かります。
パーソルキャリアのJob総研の調査では、出社頻度が昨年度より「増える」と答えた人が76%。
一方で、社員が理想とする出社頻度は週1〜3日に集中しています。
会社は出社を増やす方向に動き、社員の希望はそこまで届いていない。
このギャップが、いま多くの人事・総務が向き合っている課題です。
ここで大事なのは、出社を「義務」で押し切ろうとしないことです。
ギャップを埋める方法は2つしかありません。
出社の負担を下げるか、出社の価値を上げるか。そのどちらにも効くのが「食」です。
この記事では、ハイブリッドワークを前提にしたとき、食の福利厚生が成り立つ条件を整理します。
とくに「出社率が読めないのに固定費を払えるのか」「在宅の社員から不公平だと言われないか」「担当者の運用負荷はどうなるのか」という3つの不安に、正面から答えていきます。
テレワークは減っていない。標準が「ハイブリッドワーク」になった

まず前提として、「テレワークは終わった」という論調を耳にしますが、データはそう示していません。
総務省の調査では、企業のテレワーク導入率は50.1%で、前年の47.3%からむしろ上がっています。
同時に、Job総研の調査では出社の必要性について約7割が「必要」と回答しました。
つまり起きているのは「テレワークの廃止」ではなく、出社と在宅を組み合わせるハイブリッドワークが標準になったという変化です。
全員が毎日出社する会社にも、全員が完全在宅の会社にも戻っていません。
そして、ひとことでハイブリッドワークと言っても、その中身は会社ごとにかなり違います。
- 全社で「週2日出社」を基本ルールにしている
- 課・部の単位で「毎週水曜は全員出社」のように定期的な集合日を決めている
- 職種によって差がある。経理・総務・受付・受発注などの事務は、書類や設備の都合で毎日または週の大半で出社が必要
- 本人の裁量に任せていて、結果として出社率が月ごとに動く
制度設計でつまずくのは、たいていこの「バラつき」が原因です。
福利厚生は全社一律で入れるものなのに、働き方は一律ではない。
ここを踏まえずに制度を決めると、必ずどこかの層から不満が出ます。
出社日には、3つのコストが上乗せされている
社員が出社をためらう理由を、感覚ではなくデータで見てみましょう。
通勤の負担は「気分」の問題ではない
Job総研の調査では、通勤ストレスが仕事に及ぼす影響として、「生産性が落ちる」が51.1%、「通勤以前に出社が負担」が48.6%、「集中力が下がる」が30.0%という結果が出ています。
半数以上が「出社すると仕事のパフォーマンスが落ちる」と感じている、ということです。
これは根性で解決する話ではありません。
出社日は、昼食費が1日あたり約900円上がる
見落とされがちなのがお金の話です。
ホットペッパーグルメ外食総研の「有職者のランチ実態調査」(2026年3月実施)によると、働く人の平日ランチ代の平均は496円で、前年比+11円の過去最高額でした。
注目したいのは、食べ方による差です。
在宅勤務の日は、冷蔵庫の残りもので済ませられます。
ところが出社日は、近くの店に入るか、コンビニで買うことになりがちです。
外食と自炊・弁当の差は1日あたり約900円。
週2日の出社なら月8日、単純計算で月7,000円強の差になります。
前提を置いた概算ですが、社員が「出社すると出費が増える」と感じるのは、気のせいではありません。
食料品の値上がりが続いていることを考えると、この負担感はさらに増しています。
物価高と食事補助の関係は物価高の従業員支援、何が効く?データで見る食事補助という選択肢で詳しく整理しています。
昼休みの「移動時間」も出社日だけのコスト
3つめは時間です。
店まで歩き、並び、戻る。この往復に20〜30分かかる立地は珍しくありません。
在宅なら発生しないコストです。
- 通勤の時間と疲労(半数以上が生産性の低下を実感)
- 昼食費の増加(外食に寄ると1日あたり約900円の差)
- 昼休みの移動時間(店までの往復と待ち時間)
出社を増やしたいなら、この3つのうち会社が直接手を打てるものから外していくのが現実的です。
通勤時間は短縮できません。
しかし昼食費と昼休みの移動は、オフィスの中に食があれば同時に解消できます。
ハイブリッドワークの福利厚生でつまずく3つのポイント

ここまでは「食が効く」という話でした。
ただし、ハイブリッドワーク前提で食の福利厚生を入れようとすると、独特の壁にぶつかります。
順に見ていきます。
① 在宅の社員から「不公平だ」と言われる
もっとも多い懸念です。在宅勤務手当は出社組には届きません。
逆に、オフィスに置く食の福利厚生は在宅組には届きません。
どちらも構造的に片方しか使えない制度です。
ここは制度の定義の仕方で整理できます。
詳しくは後述しますが、「全社員に等しく配る制度」ではなく「出社日にかかる費用を軽くする制度」と位置づければ、在宅勤務手当と役割が分かれて説明がつきます。
② 出社率が読めないので、固定費を積みにくい
「毎日満席になる社食」なら投資判断は簡単です。
しかし週2日、しかも人数が読めない状態で月額の固定費を払う判断は、稟議で必ず突っ込まれます。
判断を分けるのは、使わなかった日にムダが出るかどうかです。
- 日ごとに数量を発注する形式— 出社人数を読み違えると、その日の分がそのまま損失になる
- 賞味期限が短い食品を置く形式— 出社率が下がった週に廃棄が出る
- 長期保存できる食品を置く形式— 使われなかった分は翌週以降に回るため、ムダになりにくい
出社率が読めない会社ほど、在庫が傷まない形式を選ぶ意味が大きくなります。
③ 「毎日出社が必要な社員」がいることを忘れてしまう
制度をハイブリッドワーク前提で作ると、全員が週2日出社しているような設計になりがちです。
しかし実際には、書類・設備・来客対応の都合で、毎日または週の大半を出社している社員が必ずいます。
経理、総務、受発注、受付、情報システムなどが典型です。
この層は、出社日の食事コストを最も多く負担している人たちです。
ハイブリッドワーク向けの制度が「たまに出社する人のためのもの」になってしまうと、いちばん負担している層に届きません。
制度を選ぶときは「週2日の人にも、毎日の人にも、同じ制度で意味があるか」を確認しておくと安全です。
「出社日だけ使える食の福利厚生」が満たすべき4条件
以上を踏まえると、ハイブリッドワークで機能する食の福利厚生の条件が見えてきます。
- 使わない日にムダが出ない— 出社率が下がった週でも廃棄や損失が発生しない
- 出社率の変動に耐える— 曜日ごとの偏りや月ごとの増減で運用が崩れない
- 担当者が張り付かなくていい— 発注・陳列・片付けのために総務が毎日出社する必要がない
- 「出社してよかった」と思える中身がある— 義務感ではなく楽しみとして使われる
意外と4つめの「出社してよかった」は軽視されがちなのですが、ここは結構重要なポイントです。
ここが抜けると、「あるだけで使われない福利厚生」になります。
せっかく費用をかけても、出社の動機にはなりません。
タイプ別の相性
食の福利厚生には複数のタイプがあります。
ハイブリッドワークとの相性を、3つの軸で整理しました。
| タイプ | 出社率が読めなくても平気か | 在宅組への説明 | 担当者の手間 |
|---|---|---|---|
| 弁当の宅配・仕出し | × 日ごとに数量を発注するため、人数の読み違いが損失になる |
出社日限定と説明しやすい | 中〜大 毎日の集計・受け取り |
| 社員食堂の設置・委託 | × 利用率が下がると赤字構造になりやすい |
出社日限定と説明しやすい | 大 設備・人員・運営管理 |
| 食事補助のチケット・電子マネー | ○ 使った分だけの負担で済む |
◎ 在宅組も使える設計にできる |
中 対象者・利用状況の管理 |
| 常温の惣菜を置くタイプ | △ 賞味期限が短く、出社率が落ちた週に廃棄が出やすい |
出社日限定と説明しやすい | 中 在庫と期限の確認 |
| 冷凍食品を置くタイプ | ◎ 長期保存できるため、使わない日は翌週へ回る |
出社日限定と説明しやすい | 小 設置と補充を委託できる形式が多い |
◎=相性がよい/○=おおむね問題ない/△=条件つき/×=ハイブリッドワークには合いにくい
「どれが優れているか」ではなく、自社の出社の形に合うのはどれかという選び方が正解です。
全社の出社率が安定して高いなら宅配や食堂も機能します。
逆に、出社率が読めない・拠点が小さい・総務が少人数という条件なら、置いておける形式のほうが無理がありません。
各タイプの費用や特徴をもう少し細かく比べたい方は、社食サービスのタイプ別比較をご覧ください。
出社を「促す」から「来たくなる」へ
制度でコストを下げるのは半分の話で、もう半分は「出社の価値を上げる」ことです。
Job総研の調査で、出社したい理由の上位はこうなっています。
- すぐに質問しやすい:61.4%
- リモートより意思疎通できる:52.6%
- 上司・同僚・部下と話しやすい:51.4%
いずれも人と会うことの価値です。
逆に言えば、出社したのに誰とも話さず帰る日が続けば、社員は「出社する意味がない」と感じます。
そして雑談は、席に座っているだけでは生まれません。
人が自然に集まる場所が必要です。
実際に起きていること
株式会社PHONE APPLI(従業員200〜500名)は、東京本社と山口県萩市の2拠点でハイブリッド型の働き方を採用し、フリーアドレスのオフィスを整備しています。
同社にタベレルを導入したところ、冷凍庫が「自然と人が集まるちょうどいいポイント」になり、
「それ新しいメニュー?」「美味しかった?」などと、部署の垣根を超えた会話が生まれたと担当者様は話されています。
プラス株式会社のデジタル統括部門(100〜200名)では、中途入社者のオリエンテーション2日目のランチ会や、ランチミーティングでタベレルを活用しています。
入社直後の緊張感があるなかでも、「『食』という共通の話題がコミュニケーションのきっかけになりやすい」と語っています。
出社日にしか会えないメンバーがいる会社ほど、食を会話の入口として設計する価値は大きくなります。
食を起点にしたコミュニケーション施策はオフィスの「自然なコミュニケーション」活性化戦略と食の力でも詳しく扱っています。
制度として運用するときの実務チェック
導入を決める前に、押さえておくと後で困らない点を3つ挙げます。
出社日の曜日の偏りを見込んでおく
多くの会社で、出社は火・水・木に集中します。
月曜と金曜は在宅を選ぶ人が多いためです。
曜日で山谷が出る前提で考えると、日ごとに数量を確定させる方式は運用が難しくなります。
山の日に足りず、谷の日に余るという状態が毎週起きるからです。
昼食以外の時間帯にも使えるか確認する
出社日の昼だけに用途が限られると、利用機会が少なくなります。
朝食を抜いて出社した人、残業する人、夕方に小腹が空いた人。
同じ制度でこれらをカバーできると、投じた費用に対する利用回数が上がります。
とくに毎日出社している事務系の社員には、この差が大きく効きます。
在宅の社員への説明を先に用意する
導入後に不公平感が出ないよう、説明の型を決めておきましょう。
- この制度は「出社日に発生する費用を軽くするもの」と定義する(全社員への一律配布ではないと明示する)
- 在宅勤務手当や通信費補助と役割が違うことを示す。どちらも「働く場所ごとに発生するコストへの支援」という同じ考え方の下にある
- 在宅の社員が出社した日には同じように使える、という点を伝える(対象から外れるわけではない)
この3点を先に決めておくと、稟議でも社内周知でも説明がぶれません。
タベレルはハイブリッドワークとどう噛み合うか

ここまで一般論として整理してきました。
参考として、弊社が運営するタベレルの場合にどうなるかをまとめます。
タベレルは、オフィスに冷凍庫を設置し、全国から厳選した冷凍食品を月額定額で届ける食の福利厚生サービスです。
従業員は専用ウェブアプリから商品を購入し、冷凍庫から自分で取り出して食べます。
① 出社率が読めなくても在庫がムダにならない
冷凍なので賞味期限が長く、出社が少なかった週の在庫も翌週以降で利用ができます。
また、日ごとの数量発注管理や、期限切れの廃棄が発生しません。
出社率が月によって動く会社でも運用が崩れにくい形式です。
② 担当者が食のために出社する必要がない
配送・陳列・メンテナンスはタベレル側が対応します。(※一部エリアを除く)
そのため、企業の担当者の管理対応が少なく、商品管理のために高頻度で出社する必要もありません。
食の福利厚生を入れたことで担当者の出社頻度が上がる、という本末転倒を避けられます。
③ 出社日の「楽しみ」として使いやすい
ラインナップは全国各地の食事やおやつが中心で、累計500種類以上、毎月約12種類を入れ替えています。
地方のパン屋さんのパンやご当地スイーツなど全国のおいしい食べ物を月替わりでお届けしているので、「今月は何が入っているか」を見に行く動機が生まれます。
義務ではなく楽しみとして使われることが、出社の価値を上げます。
おやつを福利厚生として扱う考え方はオフィスのおやつを福利厚生にする効果でも解説しています。
④ 出社日の昼食費の上乗せを相殺できる
タベレルでは従業員の皆さんの商品購入価格を抑えて提供しています。
例えばパンやおにぎりなら100円程度、お弁当でも~480円前後で購入できる価格設定にしていますので、コンビニやスーパーで購入するよりも、費用を抑えランチや間食を楽しむことできます。
外食との差額を考えると、出社日の出費増をかなり吸収できる水準です。
⑤ 時間帯を選ばず使える
冷凍庫とキャッシュレス決済で完結するため、朝食・昼食・残業時・24時間いつでも利用可能です。
メニューも昼食で食べられるようなご飯もあれば、パンやおやつなども用意しているため、お昼は持参する、外出したい、という人もちょっと小腹がすいた時にも利用しやすいサービスです。
また、時間に縛られないため、食堂がある会社の早朝や夜勤帯で働く方への食の提供としても活用いただけます。
よくある質問
Q1.出社率が週2日でも、月額の固定費に見合いますか?
判断の分かれ目は「使わなかった日にムダが出るか」です。長期保存できる形式であれば、出社が少ない週の在庫は翌週に回ります。加えて、昼食以外(朝食・残業時・間食)にも使える形式なら、同じ月額での利用回数が増えます。逆に日ごとの数量発注が必要な形式は、出社率が読めない会社には向きません。
Q2.在宅勤務の社員から不公平だと言われませんか?
「全社員への一律配布」ではなく「出社日に発生する費用を軽くする制度」と定義し、在宅勤務手当と役割を分けて説明するのが基本です。在宅の社員も出社した日には同じように使えるため、対象から外れるわけではありません。この整理を導入前に用意しておくことをおすすめします。
Q3.担当者は毎日出社しないと運用できませんか?
形式によります。日々の発注・受け取り・片付けが必要なタイプは、担当者の出社が前提になります。配送・陳列・メンテナンスを委託できるタイプであれば、担当者が食のために出社する必要はありません。ハイブリッドワークの会社では、ここを必ず確認してください。
Q4.出社が特定の曜日に集中していても大丈夫ですか?
在庫を置いておける形式なら問題になりにくいです。多くの会社で出社は火・水・木に偏るため、日ごとに数量を確定させる方式は「山の日に足りず、谷の日に余る」状態になりがちです。
Q5.一部の社員は毎日出社しています。その人たちにも意味がありますか?
むしろ最も恩恵が大きい層です。出社日の昼食費を最も多く負担しているのはこの層で、朝食や残業時にも使える形式なら利用機会も多くなります。制度を選ぶ際は「週2日の人にも毎日の人にも意味があるか」で確認してください。
まとめ
ハイブリッドワークの会社で食の福利厚生を考えるときの要点を整理します。
- 出社頻度は増える方向にあるが、社員の理想は週1〜3日。このギャップは義務では埋まらない
- 出社日には通勤・昼食費・昼休みの移動という3つのコストが上乗せされる。会社が直接手を打てるのは後ろの2つ
- ハイブリッドワーク特有のつまずきは「在宅組との公平性」「出社率が読めない中での固定費」「毎日出社が必要な社員の存在」の3つ
- 機能する条件は、使わない日にムダが出ない・出社率の変動に耐える・担当者が張り付かない・楽しみとして使われること
- 出社したい理由の上位は「人と話せること」。食は人が集まる場所をつくる手段になる
出社を増やしたいとき、多くの会社はルールから手をつけます。
しかしルールで動かせるのは行動までで、気持ちまでは動きません。
出社の負担を下げ、出社の楽しみを増やすほうが、結果として長く続きます。
お気軽にご相談ください
タベレルでは、出社率や拠点規模に合わせたプランのご提案が可能です。
「週2日の出社で成り立つのか」「在宅の社員にどう説明するか」といったご相談も承っています。
導入事例や費用感については担当者からご説明します。
詳細資料や試食サンプルも、下記のフォームよりお問い合わせいただけます。
