2026.08.21
物価高の従業員支援、何が効く?データで見る食事補助という選択肢
「物価高が進んでいて、オフィス周辺の飲食店が高くなった」
「賃上げはしたけど、それでも従業員から『生活が苦しい』という声が消えない」
人事・総務の方から、こうした相談が増えています。
数字で見てみると、その感覚はまさにという感じです。
2026年に入って実質賃金は6か月連続でプラスに転じました。
しかし食料の物価は前年同月比+3.1%と、名目賃金の伸び(+3.4%)に迫る勢いで上がり続けています。
全体としては賃上げが物価に追いついても、食費だけは楽になっていないのが現在の状況です。
この記事では、物価高の現在地を公的統計で整理したうえで、企業が取れる支援策を「即効性・継続性・全員に届くか」の3点で比較します。
そのうえで、従業員が最も望む福利厚生として食事補助が挙がる理由を、調査データも含めご紹介し確かめていきます。
記事内のグラフはすべて出典を明記しています。社内資料や稟議の根拠としてもお使いください。
物価高はいま、どこまで来ているのか
まず、現在の物価高について数字で見てみましょう。
食品の値上げは「一時的な波」から「毎年の常態」へ
帝国データバンクの「食品主要195社」価格改定動向調査によると、
飲食料品の値上げ品目数は2023年の32,396品目をピークにいったん減ったものの、2025年には20,609品目と前年比64.6%増で再び2万品目を超えました。
2026年も、6月時点ですでに14,902品目(1〜11月判明分)の値上げが表明されています。
注目したいのは品目数だけではありません。
2025年の平均値上げ率は15%、2026年も14%と、1回あたりの上げ幅が2桁で続いている点です。
値上げの理由も原材料高(92.5%)だけでなく、物流費(71.9%)、包装・資材(69.8%)と広がっており、短期で収まる性質のものではなくなっています。
エンゲル係数は44年ぶりの高水準
家計側の数字も見ておきましょう。
総務省の家計調査によると、二人以上世帯のエンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合)は2025年に28.6%となり、1981年以来44年ぶりの高い水準になりました。
2024年の28.3%からさらに0.3ポイント上昇しています。
エンゲル係数が上がるということは、同じ生活をしていても、食費が家計を圧迫する割合が増えているということです。
従業員が「生活が苦しい」と感じる感覚は、この数字とほぼ一致します。
実質賃金はプラスに転じた。それでも食費だけは楽にならない
ここが本記事でいちばんお伝えしたい点です。
実質賃金は2022年から2025年まで4年連続でマイナスが続いていました(2025年は前年比-1.3%)。
それが2026年に入って改善し、6月時点で前年同月比+1.6%と6か月連続のプラス。
6か月以上続くのは2021年以来です。
数字だけ見れば「物価高は峠を越えた」と言えそうですが、内訳を見ると景色が変わります。
物価全体は+1.7%まで落ち着きました。
ところが食料(生鮮食品を除く)は+3.1%と、名目賃金の伸び+3.4%とほぼ同じペースで上がり続けています。
つまり、賃上げによって増えた分の多くが、食費の値上がりに吸収されている。
従業員から見れば「給料は上がったはずなのに、スーパーとコンビニでは全然ラクになっていない」という状態です。
全体の物価が落ち着くほど、この食費だけが取り残されている感覚は、かえって際立ちます。
物価高対策を考えるときの起点は、「物価が上がった」ではなく「上がり方が費目によって違う」という点です。
全社員が毎日必ず支出する食費が、いちばん上がり続けている。
ここに支援を集中させると、同じ金額でも実感につながりやすくなります。
賃上げをしても、従業員の実感が食卓に届かない理由

「では賃上げをもっとすればいい!」という結論になりそうですが、調査データはもう少し複雑な事情を示しています。
賃上げした企業でも、9割が「生活は改善しなかった」
エデンレッドジャパン・フリー・リゾートワークスの3社が実施した
「第3の賃上げ」実態調査2026(2025年12月実施、経営層382名・一般社員418名の計800名)では、次の結果が出ています。
「賃上げは当然」と考える人が87.9%いる一方で、実際に賃上げされても91.5%が「生活は改善しなかった」と回答しています。
別の調査では、勤務先で賃上げが実施された人の69.8%が食品・外食の値上げによる「昇給の目減り」を実感し、賃上げでランチ代の負担感が軽減されたと答えた人はわずか11.1%でした。
賃上げが無意味だという話ではありません。
賃上げは前提として必要で、そのうえで実感が届いていないという二段構えの課題がある、ということです。
実際、同じ調査では78.4%が「賃上げに加えて福利厚生の充実も重要」と回答しています。
昼食は「削る対象」になっている
もう一つ、現場のリアルな数字を挙げます。
エデンレッドジャパンの「ビジネスパーソンのランチ実態調査2026」(全国20〜50代の会社員600名)によると、勤務日の平均ランチ代は443円で調査開始以来の最高額。
2023年の400円から3年で約11%上がりました。
ホットペッパーグルメ外食総研の調査(2026年3月、4,444人)でも、平日ランチの平均は496円と過去最高です。
そして深刻なのが欠食です。
- 勤務日にランチを食べないことがある人:24.8%(4人に1人)。うち約半数は週2回以上抜いている
- 欠食の理由:「忙しくて食べる時間がない」50.3%に次いで、「ランチ代を節約したい」41.6%、「値上げでランチ代が高いと感じる」30.2%
ランチ代が上がり続けるなかで、昼食が家計の調整弁になっている。
これは福利厚生の問題である前に、午後のパフォーマンスと健康の問題です。
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「節約のために昼食を簡単に済ませる」状態が続くと、健康面のリスクも見えてきます。
企業側でできる改善策を、費用比較付きで解説しています。
→ 従業員の昼食がカップ麺ばかり…企業ができる5つの改善策【費用比較付き】
企業が取れる物価高支援策を、3つの軸で比べる
ここからは具体的に企業で実施できる、物価高対策の施策についての話です。
物価高への従業員支援は、大きく4つに分かれます。
それぞれ性質が違うので、「即効性」「継続性」「全員に届くか」で並べて比べます。
| 支援策 | 即効性 | 継続性 | 全員に届くか | 元に戻しやすさ | 主な論点 |
|---|---|---|---|---|---|
| ベースアップ (基本給の引き上げ) |
○ | ◎ | ◎ | × | 最も本質的だが、恒久的な固定費になる。物価上昇に毎年追随するのは負担が大きい |
| 一時金・ インフレ手当 |
◎ | × | ◎ | ○ | すぐ渡せるが1回で終わる。翌年出さないと「減らされた」と受け取られやすい |
| 住宅手当・ 通勤補助など |
○ | ◎ | △ 条件該当者のみ |
× | 金額は大きいが対象が限られ、該当しない従業員との公平感が課題になりやすい |
| 食事補助・ 食の福利厚生 |
◎ | ○ | ○ 出社者のほぼ全員 |
○ | いちばん上がっている費目を直接支援できる。在宅勤務者との公平性の設計が必要 |
◎ 適している/○ 条件次第で可/△ 一部制限あり/× 不向き
インフレ手当は「4社に1社」が動いたが、続けにくい
帝国データバンクの調査では、物価高騰をきっかけとした特別手当(インフレ手当)について「支給した」6.6%、「支給予定」5.7%、「検討中」14.1%を合わせて26.4%=4社に1社が取り組んでいました。
支給方法は一時金が66.6%と多数派です。
一時金は動きが速く、緊急対応としては有効です。
ただし翌年も同額を出せなければ「今年は無くなった」と受け取られる。
物価高が数年単位で続く局面では、一度きりの打ち手だけでは足りないというのが多くの企業が直面している現実です。
「即効性 × 続けられるか」で見ると、選択肢は絞られる
先ほどの4つを2軸に置くと、それぞれの立ち位置がはっきりします。
ベースアップは最も本質的な施策ですが、一度上げた基本給は下げられないため、物価に毎年追随するのは現実的でない企業が多いです。
そして、一時金は続けにくい。
「毎月効いて、かつ会社側で規模を調整できる」という条件を満たすのが、食事補助を含む食の福利厚生という位置づけになります。
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「かけた費用がどう返ってくるのか」を数字で押さえておきたい方はこちら。
採用・定着・生産性への効果をデータで解説しています。
→ 食の福利厚生の費用対効果をデータで解説|採用・定着・生産性への4つの投資効果
なぜ「食事補助」が支持されるのか

ここから、食事補助が支持される理由をデータで確かめます。
従業員が最も導入してほしい福利厚生は、食事補助
「第3の賃上げ」実態調査2026では、導入を希望する福利厚生を聞いています。
結果は次のとおりです。
食事補助が61.1%で、2位の医療・健康(48.6%)に12ポイント以上の差をつけています。
物価高で最も上がっている費目と、従業員が最も支援を望む項目が一致している。
これは偶然ではありません。
「期待される福利厚生」と「あってよかった福利厚生」のねじれ
ここに、もう一つ面白いデータを重ねます。
マンパワーグループの調査では、あってほしい福利厚生の1位は「住宅手当・家賃補助」で48.3%。
食堂・昼食補助は33.9%で2位でした。
ところが、実際に利用して「あってよかった」と答えた福利厚生の1位は「食堂、昼食補助」(17.1%)で、住宅手当・家賃補助(16.7%)を上回っています。
金額の大きさで期待されるのは住宅手当。
しかし実際に使ってみて満足度が高いのは食事補助であった。
このねじれは、福利厚生の価値が「金額」ではなく「使う頻度」で決まることを示しています。
住宅手当は月に一度、給与明細の数字として現れるだけ。
食事補助は毎日、実物として手元に届きます。
人事・総務の9割超が「食支援が必要」と感じている
企業側の認識も追いついています。
福利厚生の企画・導入に携わる人事・総務担当者110名への調査(2026年4月実施)では、物価高を背景に従業員への食事支援が必要だと「感じる」と答えた人が94.5%(非常にそう感じる40.9%+ややそう感じる53.6%)にのぼりました。
「まったく感じない」は0%です。
制度面にも追い風がある
2026年4月1日から、企業が従業員に提供する食事補助の非課税限度額が、月額3,500円から月額7,500円へ引き上げられました(国税庁)。1984年以来、42年ぶりの改定です。
この改定を受けて、食事補助サービス大手のエデンレッドジャパンでは2026年4月の新規契約数が前年比約1.7倍となり、新規契約企業の82%が従業員100名以下の中小企業だったと公表しています。
制度改定が、規模の小さい会社にとっての現実的な選択肢を広げた形です。
※非課税の適用要件や自社での会計・税務処理については、契約形態によって判断が変わります。必ず自社の経理担当や顧問税理士にご確認ください。
一方で、この改定はまだ十分に知られていません。
同社の調査では、非課税限度額の引き上げを「知らない」と答えた人が77.8%。逆に内容を知った人の77.3%が「食事補助の導入・増額を希望する」と回答しています。
認知が追いつけば、導入はさらに進むと見られます。
食事補助の5つの方法と、物価高支援としての向き不向き
「食事補助」とひとことで言っても、方法によって支援できる範囲が大きく違います。
物価高対策という観点で整理します。
| 方法 | 支援できる範囲 | 初期費用 | 担当者の手間 | 向く規模 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|
| ①食事券・ 電子食事カード |
加盟店での昼食 | 低 | 小 | 全規模 | オフィス周辺に加盟店が少ないと使われない。外勤者には強い |
| ②社員食堂 | 昼食(1食まるごと) | 高 | 大 | 数百名〜 | 厨房・席・人員が必要。中小規模では成立しにくい |
| ③宅配弁当・ 仕出し |
昼食(1食まるごと) | 低 | 中 前日予約・集金 |
30名〜 | 前日までの注文数確定が必要。当日の出社変動に弱く、廃棄も出る |
| ④オフィス コンビニ型 |
間食+軽食 | 低 | 小〜中 | 10名〜 | 菓子・麺類が中心になりやすく、1食分の支援にはなりにくい |
| ⑤設置型の 簡易社食 (冷凍タイプ) |
朝食・昼食・間食・ 残業前まで |
中 | 小 補充も委託可 |
10〜200名 | 冷凍庫の設置スペースと電源が必要。数百名の一斉利用には不向き |
物価高支援という観点で見ると、判断軸は2つです。
- 「1食分」を支援できるか:間食だけでは家計への影響が限定的。ランチ1食に届いて初めて、月数千円規模の支援になる
- 使える人と回数が多いか:加盟店依存や事前予約制は、使える人・使える日が限られやすい
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毎日の1食を支える選択肢:タベレルの場合
設置型の簡易社食サービスの参考として、私たちが運営している「タベレル」の仕組みもご紹介します。
冷凍食品を使った、設置型の簡易社食サービスです。
従業員は半額前後で購入、会社は月額定額
オフィスに冷凍庫を設置し、全国から選んだ冷凍食品を届けています。
パンやおにぎりなら100円ほど、おかず弁当などは従業員は300~400円前後で購入できます。
物価高の昨今の状況を踏まえると、コンビニなどで購入する金額の半額程度で購入が可能です。
基本的に月々会社が支払うのは月額のサービス利用料のみとなるので、「予算が読める」という点が実務上の利点になります。
朝食・昼食・間食・残業前まで、1つの仕組みでカバー
ラインナップは累計500種類以上で、毎月およそ12種類を入れ替えています。
商品も全国各地のご当地食事やメディアで話題の商品の取り扱いも多く、毎日の出社がわくわくするようなラインナップを提供しています。
- 昼食:おかず、ご飯もの、カロリーに配慮したメニュー
- 朝食向け:地方のパン屋のパンなど、軽く食べられるもの
- 間食・残業前:ご当地スイーツ、長野のおやきなど
冷凍のため賞味期限が長く、仕出し弁当のように前日や当日までに注文数を決めなきゃいけないといった手間もありません。
出社人数が日によって変わる会社でも、廃棄が出にくい設計です。
担当者の作業は、ほぼありません
配送・陳列・商品の入れ替え・メンテナンスも、主要エリアではタベレル側で対応します。
また、支払いはApple Pay・Google Pay・PayPayなどのキャッシュレスに対応しており、現金の集金や精算作業は発生しません。
冷凍庫と電子レンジは貸し出しのため、設備を購入する必要もありません。
基本的には企業の担当者の商品管理などの面倒な作業を必要としないため、忙しい担当者様でも無理なく運用いただけます。
よくある質問
Q1.賃上げをするなら、食事補助は不要ではありませんか?
賃上げは前提として必要です。そのうえで、調査では賃上げされた人の91.5%が「生活は改善しなかった」と回答し、賃上げでランチ代の負担感が軽減したと答えた人は11.1%にとどまっています。全体の物価上昇が落ち着いても食料だけは前年比3%台で上がり続けているため、食費に直接効く施策を組み合わせる企業が増えています。
Q2.インフレ手当のような一時金と、どちらが良いですか?
目的によります。緊急の生活支援なら一時金のほうが速く、金額のインパクトも出せます。ただし翌年も同額を出せない場合、「今年は無くなった」と受け取られやすい面があります。物価高が数年単位で続く前提であれば、毎月効いて規模も調整しやすい食事補助のほうが運用しやすいという判断をする企業が多いです。
Q3.在宅勤務の従業員がいる場合、不公平になりませんか?
出社した人だけが使える施策である点は、あらかじめ社内に説明しておくのが無難です。一方で、出社日の価値を上げる施策として位置づける会社もあります。外勤や在宅が中心の組織であれば、加盟店で使える食事券タイプのほうが公平性を確保しやすい場合があります。
Q4.食事補助の非課税限度額はいくらになったのですか?
2026年4月1日から、月額3,500円が月額7,500円に引き上げられました(国税庁)。1984年以来42年ぶりの改定です。ただし非課税として扱うための要件や自社での処理方法は契約形態によって判断が変わるため、必ず自社の経理担当や顧問税理士にご確認ください。
Q5.どのくらいの規模の会社から導入できますか?
方法によります。社員食堂は数百名規模から、宅配弁当は30名程度から、食事券や設置型の簡易社食は10名規模から導入例があります。実際、2026年4月に食事補助サービスを新規契約した企業の82%は従業員100名以下でした。規模が小さいから無理、という前提は現在では当てはまりません。
Q6.導入までどのくらいの期間がかかりますか?
情報収集から利用開始まで、1〜2ヶ月が一般的です。設置場所と電源の確認、社内周知の準備を並行して進めると、スムーズに始められます。物価高対策として年度内に形にしたい場合は、逆算して2ヶ月前に動き出すと余裕があります。
まとめ:上がり続けている費目に、支援を集中させる
物価高への従業員支援を考えるときの起点は、「物価が上がった」ではなく「上がり方が費目によって違う」という事実です。
最後に、判断のポイントを整理します。
- 物価全体は+1.7%まで落ち着いたが、食料は+3.1%と名目賃金の伸びに迫る勢いで上がり続けている
- 賃上げされた人の91.5%が「生活は改善しなかった」と回答。賃上げは前提、実感は別の課題
- 従業員が導入を望む福利厚生の1位は食事補助(61.1%)。実際に使った満足度でも1位
- 一時金は速いが続けにくい。ベースアップは続くが元に戻せない。毎月効いて調整もできるのが食事補助
- 説明は「費用が月◯万円」ではなく「1人あたり年間◯万円の食費支援」に言い換える
「何をしたらよいかわからない」という方は、まずは自社の従業員が、いま何にいちばん困っているのか。
まずアンケートで昼食についての困りごとや、希望する福利厚生、補助等を聞いてみるところから始めることからおすすめします
▶ お気軽にご相談ください
タベレルでは、従業員数・オフィスの立地・出社状況をうかがったうえで、どの方法が合いそうかを率直にお伝えしています。自社には食事券タイプのほうが合う、というケースであればそう申し上げます。
導入事例や費用感、試食のご相談も承っています。情報収集の段階でも構いませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。
その前に他社の運用を見ておきたい方は、こちらもどうぞ。
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